
学校や教育施設をリニューアルする際、「黒板とホワイトボード、今の教室に合うのはどっち?」という悩みが多く聞かれます。
視認性や書きやすさ、清掃のしやすさに加え、最近ではICT機器との連携や教員の健康面への配慮も重要な選定ポイントになってくるでしょう。
この記事では、札幌教材製作所が教育現場の視点から、黒板とホワイトボードの性能・コスト・教育効果をわかりやすく比較します。
現場のニーズに応じて、「導入してから後悔しない」選択ができるよう判断材料をしっかり整理していきましょう。
札幌教材製作所では、多種多様な黒板・ホワイトボードを取り扱っています。一口に「黒板」「ホワイトボード」と言っても、書き心地や見た目の質感、機能性は様々。実際に触れて、書いて、比べてみませんか? ぜひ弊社にお越しいただければ、用途に合わせた最適なご提案をさせていただきます。 気になることがあれば、まずはお気軽にお問い合わせください!
黒板とホワイトボード、基本性能を徹底比較
黒板とホワイトボードは、どちらも教室やオフィスで使われますが、その使い勝手や特性には大きな違いがあります。
ここでは視認性・書きやすさ・消しやすさなど、導入前に確認しておきたい基本性能を比較し、それぞれの強みや課題を整理していきましょう。
生徒の視認性:文字の見やすさ、色のコントラスト、光の反射
生徒の視認性という観点で、黒板とホワイトボードを比較してみましょう。
項目 | 黒板 | ホワイトボード |
文字の見やすさ | チョークはくっきり見える。黒板の緑色が目に優しい色なので目が疲れにくい。 | 白色の表面に黒色の文字は見えやすい |
光の反射 | 反射が少なく目に優しい | 蛍光灯・日光の反射に注意が必要 |
黒板はマットな質感で光を反射しにくく、どの席からも見やすい構造で、チョークの色も背景とのコントラストが強く文字の視認性に優れています。
一方ホワイトボードは、角度によって光が反射しやすく、教室の照明環境によっては文字が見づらくなる場面もあるでしょう。
特に視覚過敏や色覚特性のある生徒がいる場合は、使用するペンの色や配置への配慮が必要です。
教員の書きやすさ:筆記抵抗、インクのかすれ、チョークの粉
筆記時の抵抗感、書いたときの見やすさ、そして粉塵の有無など、教員の書きやすさという観点から黒板とホワイトボードを比較してみましょう。
項目 | 黒板 | ホワイトボード |
筆記抵抗 | 適度な抵抗があり書きやすい | とても滑らか |
インク/チョークのかすれ | チョークが短くなる書きにくい | インクがかすれる・乾いて出なくなることも |
粉の発生 | 粉が出やすく、粉塵への配慮が必要 | 粉は出ないが、インクの消しカスは発生する |
黒板は「書いている感覚」があり、しっかりした筆記ができる反面、チョークの粉による服や空気の汚れが気になります。
ホワイトボードは滑らかな書き心地で、粉は出ませんが、インク切れや消しカスが気になる場面もあるでしょう。
消去のしやすさ:時間と労力、消し跡の残りやすさ
板書の頻度が高い現場では、「消しやすさ」も教員の負担に直結するため、黒板とホワイトボードの消去性能を比較してみましょう。
項目 | 黒板 | ホワイトボード |
消しやすさ | 乾拭きでは残りやすい | 基本は乾拭きでOK |
消し跡の残りやすさ | チョーク跡が残ることがある | 時間が経つとインクが残りやすい |
消去に必要な手間 | 水拭きが必要 | 専用クリーナーの使用推奨 |
黒板は乾拭きだけでは跡が残りやすく、粉も舞いやすいため、定期的な水拭きが欠かせません。
ホワイトボードは基本的にイレーザーで簡単に消せますが、時間が経つとインクが固着し、専用クリーナーが必要になるケースもあります。
耐久性と安全性:長期間の使用に耐えられるか、生徒への安全性
長く使うものだからこそ重要になる、黒板とホワイトボードの耐久性と安全性を比較してみましょう。
項目 | 黒板 | ホワイトボード |
使用年数 | 10年ほどが目安 | 10年ほどが目安 |
安全性への配慮 | 設置位置に注意が必要 | 設置位置に注意が必要 |
黒板とホワイトボードの使用年数の目安はどちらも約10年とされており、この点では大きな差はありません。適切なメンテナンスを行うことで、さらに長く使用できる場合もあります。
安全性に関しては、どちらの製品も「設置位置に注意が必要」という共通の考慮点があります。
生徒が活発に動き回る可能性のある教室では、安定した設置が不可欠です。
メンテナンス:清掃の手間、消耗品のコストと交換頻度
毎日使う備品だからこそ、手入れのしやすさや維持にかかるコストや、メンテナンス面を比較してみましょう。
項目 | 黒板 | ホワイトボード |
清掃の手間 | 粉掃除が必要 | インク汚れ対応が必要 |
消耗品のコスト | チョークは安価 | マーカー代はやや高価 |
黒板はチョークの粉が舞いやすく、教室や備品に付着しやすいため、掃除の手間はあるものの、消耗品のコスト自体はの非常に低く抑えられます。
チョーク補充頻度も少なく、費用対効果は高めです。
一方、ホワイトボードは掃除が比較的楽な反面、マーカーはチョークより一般的に高くなりランニングコストは高い傾向にあります。
コスト:本体価格、本体の交換頻度
設備導入の初期費用と、長期的にかかる維持費など、導入コストを比較してみましょう。
項目 | 黒板 | ホワイトボード |
本体価格 | 本体は比較的安価 | 本体はやや高価 |
交換頻度 | 黒板が定期交換 | 定期交換の頻度は低め |
本体価格においては黒板が比較的安価であるのに対し、ホワイトボードはやや高価な傾向にあります。設置費用については、どちらも壁面への固定が一般的で設置費用は変わりません。
黒板に比べホワイトボードのほうが交換頻度は低い傾向にあります。
教育効果で比較:授業スタイルに合わせた最適な選択

授業の進め方によって、板に求められる役割も大きく変わります。
ここでは、板書中心の授業からグループワーク、ICT連携や特別支援教育まで、授業スタイルに応じた黒板とホワイトボードの適性を比較していきましょう。
板書中心の授業:視認性、消去の頻度
板書が中心の授業で求められる、見やすさと書きやすさ、スムーズな消去の観点から比較してみましょう。
項目 | 黒板 | ホワイトボード |
視認性 | 文字が見やすく目が疲れにくい | 反射の影響を受けやすい |
消去の頻度 | 跡が残りやすく、頻繁な水拭きが必要 | 乾拭きで簡単に消せるが、インクの固着に注意 |
黒板は視認性が高く、チョークで板書する際の余白やレイアウトの工夫もしやすいため、情報を整理して伝える板書向きです。ただし消し跡が残りやすく、こまめな水拭きが必要な点はやや手間となります。
一方ホワイトボードは書いてすぐ消せる手軽さがあり、授業のテンポを崩さず進行できますが、反射の影響やスペースの使い方に工夫が求められます。
図やイラストを多用する授業:表現力、色の使い分け
図解やイラストを多用する授業で必要となる、表現力と色使いの自由度という観点から比較してみましょう。
項目 | 黒板 | ホワイトボード |
表現力 | チョークは柔らかく、線の強弱や濃淡をつけやすい。 | 細かい線や図もスムーズに描ける |
色の使い分け | カラーチョークの種類が豊富で、黒板アートなども楽しめる | カラーマーカーのバリエーションが豊富。 |
黒板は、チョークの柔らかさから、線の強弱や濃淡をつけやすく、よりアナログ的で温かみのある表現が可能です。特に、最近では黒板アートに代表されるように、豊富なカラーチョークを活用することで、非常に豊かな色彩表現を楽しめます。
一方、ホワイトボードは、マーカーの特性上、均一でクリアな線が描け、細かい線や図形をスムーズに表現するのに適しています。複雑な図表が多い授業や、視覚に訴える内容の授業では、ホワイトボードの良さが実感できるでしょう。
ICT機器との連携:プロジェクター投影の適性
ICT機器を活用する授業も増えているので、プロジェクターとの相性を中心に比較してみましょう。
項目 | 黒板 | ホワイトボード |
プロジェクター投影の適性 | 表面が暗く、光を吸収するため、プロジェクターの映像が見えにくい。 | 表面が白く光を反射するため、プロジェクターのスクリーンとして使用できる。 |
プロジェクターを頻繁に使う授業では、ホワイトボードがスクリーンとして優れています。その白い表面は光を効率よく反射するため、鮮明な映像を投影できます。一方で、黒板に直接プロジェクターを当てると、表面が暗く光を吸収しやすいため、映像が暗く見えにくいという課題がありました。この場合、別途スクリーンを用意する手間やコストが発生してしまいます。
しかし、近年ではこの課題を解決する新しい選択肢が登場しています。例えば、サカワさんの「ワイード」のような高輝度プロジェクターは、黒板への投影も考慮して設計されており、暗い黒板でも明るく鮮明な映像を映し出すことが可能です。つまり、黒板にプロジェクターを使用する場合、プロジェクター自体の選び方が非常に重要になってきます。
もし、お使いの黒板でプロジェクターの映り具合を試してみたい場合は、札幌教材製作所にご相談ください。デモ機をご用意しておりますので、実際の黒板での見え方をご確認いただけます。お気軽にお問い合わせください。
プロジェクターの投影をメインにした授業には、ビューボードもおすすめです!
ホワイトボードでは、照明の反射や表面のツヤにより、プロジェクターの映像が見えにくいという課題がありました。
ビューボードは、一般的なホワイトボードとは異なり、ツヤ感を抑えたマットな質感が最大の特徴です。これにより、室内の照明やプロジェクターの光が反射することなく、明るい室内でも非常に鮮明に映像を映し出すことが可能になります。
生徒たちは、集中力を途切らせることなく、投影された教材や資料をはっきりと確認できるため、学習効果の向上が期待できます。
さらに、筆記具には、クレヨンのような感覚の「キットパス」を使用します。キットパスは、チョークのように粉が出たり、マーカーのようにカスが出たりすることがないため、教室が常に清潔に保たれます。
プロジェクターを活用した効果的な授業を実現し、かつ清潔で快適な学習環境を求める学校にとって、ビューボードという選択もおすすめです。
特別支援教育の視点:色覚特性への配慮、目の疲れやすさ
特別支援教育で求められる、色覚特性や視覚過敏に対する配慮のしやすさという観点で比較してみましょう。
項目 | 黒板 | ホワイトボード |
色覚特性への配慮 | 日本理化学工業の「アイチョーク」など、色の区別がしやすい配色をしたチョークが利用可能。 | ボードマーカーの黒や青は一般的に見やすい。色分けには青の活用が推奨される。 |
目の疲れやすさ | マットな質感で光を反射せず目に優しい | 光沢による反射で目が疲れやすくなることがある |
色覚特性への配慮:
黒板は、日本理化学工業の「アイチョーク」のような製品があり、色の区別がつきにくい方でも判別しやすい配色に工夫されています。
ホワイトボードの場合、一般的に黒色や青色のボードマーカーは見やすいとされています。色分けを行う際は、特に青色を活用するのがおすすめ。
通常の見え方と、赤色が区別しづらい人の見え方
通常の見え方では、赤が区別できます。アイチョークでは赤色のチョークは見た目オレンジ色に近いです。

下記の写真は、赤色が区別しづらい人の見え方を再現したアプリの写真です。
黒板の赤色と青と区別できません。しかし、アイチョークの赤色は、赤ではありませんが他の色と区別が出来ます。

教員の負担軽減:どちらが働きやすい環境を作るか
日々の授業を支える教員にとって、板の使いやすさは働きやすさに直結します。
ここでは、板書や清掃などの負担を軽減できるかどうかという視点で、黒板とホワイトボードの違いを比較していきましょう。
長時間板書する際の疲労度:書き心地の違い
長時間書き続けたときの疲れやすさや快適さの違いに注目して比較してみましょう。
項目 | 黒板 | ホワイトボード |
筆記時の負担 | 適度な摩擦がありコントロールしやすい | 滑らかで軽い力で書ける |
疲労感 | チョークの粉で喉が疲れることも | 滑りすぎることで逆に疲れることも |
黒板は手に伝わる適度な摩擦があるため、力をかけすぎずに安定した筆記が可能です。
ただし、チョークの粉によって喉や呼吸に影響を感じる教員もいます。
一方ホワイトボードは滑らかな書き味で手首への負担が少ない反面、滑りすぎてコントロールが難しいと感じる人もいます。
マーカーのにおいや重さに違和感を覚えるケースもあるでしょう。
消去作業の負担:時間と労力
日々の消去作業にかかる手間や時間の違いに注目して比較してみましょう。
項目 | 黒板 | ホワイトボード |
消去のしやすさ | 乾拭きでは跡が残りやすい | 乾拭きで簡単に消せる |
作業にかかる時間 | 水拭きの手間がある | 素早く対応できる |
板面の清掃頻度 | こまめな掃除が必要 | 汚れは固着しやすく定期清掃が必要 |
黒板は粉が舞いやすく、乾拭きでは跡が残りやすいため、水拭きによる清掃が定期的に必要です。
そのぶん時間と労力がかかり、忙しい授業スケジュールの中では負担に感じる場面もあるでしょう。
一方、ホワイトボードは基本的に乾拭きだけで消せるため、スピーディーに切り替えられるのが魅力です。
ただし、インクが固着しやすいので定期的なクリーナーでの掃除が必要になります。
清掃の頻度と手間:教室環境の維持
教室環境維持のしやすさという視点から黒板とホワイトボードを比較してみましょう。
項目 | 黒板 | ホワイトボード |
日常清掃のしやすさ | 粉の掃除が必要 | 表面の拭き取りが簡単 |
汚れの種類 | チョークの粉が床や棚に落ちやすい | インクのにじみ・固着 |
備品への影響 | 書籍・PCに粉がつくリスクあり | 備品への影響は少ない |
黒板はチョークの粉が床や棚、教具に付着しやすく、掃除の手間がかかるのが難点です。
特に電子機器や本が多い教室では、粉の飛散に注意が必要になります。
ホワイトボードは粉の心配がなく、拭き取りも簡単ですが、インクが固まって落ちにくくなることがあり、定期的な手入れは欠かせません。
学校現場の疑問を解決!Q&A

実際に導入を検討する中で、よくある疑問や気になるポイントをまとめました。
現場の声に近い形で、黒板とホワイトボードに関するよくある質問にお答えします。
Q:チョークの粉が少ない製品はありますか?
あります。粉の飛散を抑えた日本理化学工業さんの「ダストレスチョーク」が多く使われており、衣類や空気を汚しにくくなっています。
素材に貝殻などの天然成分を使った製品もあり、環境面や健康面への配慮から学校やオフィスでも選ばれています。
Q:ホワイトボードのインク汚れを落とす効果的な方法は?
インクが定着してしまった場合は、専用のホワイトボードクリーナーが最も効果的です。
固着が軽い場合は、アルコール系のウェットティッシュでも対応できます。
定期的にメンテナンスすることが、板面を長くきれいに保つコツです。
Q:プロジェクターの投影にはどちらが適していますか?
反射を抑えて映像を見やすくしたい場合は、マットな表面の黒板のほうが適しています。
ホワイトボードは表面に光沢があるため、映り込みや反射によって視認性が下がることがあります。
近年では、板書とプロジェクター投影の両方に対応できる「ワイード」のような製品も登場しています。
1つの画面でICT活用と手書き板書を両立したい授業に適しています。
まとめ
黒板とホワイトボードは、どちらも教育現場で広く使われていますが、それぞれに異なる特長があります。
視認性や書き心地、ICTとの連携や清掃のしやすさなど、授業スタイルや教員・生徒のニーズに応じて最適な選択肢は変わってくるでしょう。
どちらが正解というわけではなく、「誰が・どこで・どう使うか」によって最適な道具は異なります。
そのため、導入前に比較検討を重ねるて現場に合ったスタイルを取り入れましょう。
長く使える設備だからこそ、今だけでなく未来の授業スタイルも視野に入れることが大切です。
札幌教材製作所では、多種多様な黒板とホワイトボードを取り扱っています。実際に製品に触れ、書き心地やマグネットのつき具合、光の反射などをじっくりお確かめいただけます。最適な一枚を見つけるために、ぜひ一度弊社へお越しください!お問い合わせはいつでも大歓迎です。