学校で当たり前のように使われている「黒板」。

実は、その色や位置、形には長い歴史とたくさんの工夫が詰まっています。

黒から緑に変わった理由、窓の向きの意味、そしてデジタル時代でも残る黒板の価値。

どれも知れば「なるほど！」と感じるはず。

今回は、長年黒板を作り続けてきた「札幌教材製作所」が、意外と知られていない黒板の豆知識をわかりやすく解説します。

この記事を読めば、これまで気がつかなかった黒板の雑学が身につき、何気ない教室の風景が少し違って見えてくるでしょう。

【黒板の豆知識①】教室の「当たり前」に隠された背景を知ろう

私たちが何気なく使ってきた黒板には、実は多くの工夫が隠されているのです。

ここでは、「当たり前」になりつつある黒板の色や配置に関する豆知識をご紹介します。

黒板が「黒」から「緑」に？！変化した理由とは

日本で黒板が使われ始めたのは1800年代。

アメリカから「ブラックボード」として伝わった当初は、名前の通り黒い板でした。

ところが昭和29年（1954年）、JIS規格の制定をきっかけに、黒から緑へと変化します。

理由は「見やすさ」。

黒板に光が反射すると、席によっては文字が見づらくなることがありました。

緑色は光の反射（テカリ）を抑え、目への負担も軽減できることから採用されたのです。

以降、学習環境をより快適にする工夫として、緑色の黒板が全国に広がっていきました。

黒板の左側に窓がある理由

教室の黒板を思い出すと、たいてい左側に窓があることに気づくでしょう。

これは偶然ではなく、学習しやすさを考えた工夫です。

日本では右利きの生徒が多いため、右側から光が差し込むと、ノートを取るときに自分の手が影を作って手元が暗くなってしまいます。

そこで、左側から自然光を取り入れることで、影ができにくく、ノートや黒板の文字が見やすくなるのです。

こうした設計は、学習環境を少しでも快適にしようという教育現場の知恵から生まれたものです。

美術室の窓は北向き？採光設計の工夫

普通教室の窓の多くが南向きなのに対し、美術室の窓は北向きに設計されていることをご存じですか？

これは、絵を描くうえで大切な「光の安定性」を保つための工夫です。

南向きの窓だと、時間とともに太陽の角度が変わり、モチーフ（人物や静物）の影の形や濃さが変化してしまいます。

一方、北向きの窓から入る光は一日を通して柔らかく一定のため、安定した明るさで制作に集中できるのです。

また、普通教室と同じく、生徒の左側から光を取り入れる設計にすることで、右手の影が手元を覆わないよう工夫されています。

【黒板の豆知識②】消せる黒板だからこそ生まれる価値

黒板は「書いては消す」を繰り返す、儚さの象徴のような存在です。

しかしその一時性こそが、教育の場で大きな価値を生み出しています。

黒板の文字は永遠に残らないからこそ、生徒は「今この瞬間に理解しなければ」という意識を持ち、自然と集中力が高まります。

また、ノートを取りながら自分の言葉で整理する過程が、記憶の定着を助けます。

デジタルのように後から見返せる便利さはないものの、「その場で考え、理解する」体験を生み出す点で、黒板は今なお教育現場に欠かせない存在と言えるでしょう。

【黒板の豆知識③】デジタル時代にこそ知りたい黒板の未来

デジタル化が進み、タブレットや電子黒板が普及する一方で、チョークで書く黒板ならではの魅力が再評価されています。

ここでは、デジタルとアナログが共存する新しい学びの形と、情報過多の現代における黒板の価値について見ていきましょう。

電子黒板の普及とアナログ黒板の共存

近年は電子黒板の導入が進み、授業のスタイルも大きく変化しています。

しかし、アナログ黒板が完全に姿を消したわけではありません。

むしろ、両者の「共存」が新しい学びの形として注目されています。

たとえばハイブリッド授業では、アナログ黒板は授業中に残しておきたい要点やまとめを記す場として、電子黒板は画像・動画・資料など動的な情報を提示する場として使い分けられます。

特にプロジェクター型の電子黒板は、従来の黒板上にデジタル空間を重ねられるため、アナログの温かみとデジタルの効率性を両立できる点が大きな魅力です。

情報過多の時代に引き立つ、黒板の価値とは

デジタル教材やタブレットが普及する今、「黒板」が持つ価値が見直されています。

アナログ黒板は、授業の流れを整理したり、生徒同士の意見をまとめたりする「静的な表示」に向いており、情報があふれる時代だからこそ、そのシンプルさが際立ちます。

黒板に書かれた文字や図は、必要な情報だけが厳選され、思考の整理を助けます。

また、生徒自身がノートに書き写すという行為は、ただの記録ではなく「理解しながらまとめる」学びのプロセスそのもの。

手を動かし、自分の言葉で整理することが、記憶の定着や主体的な学びにつながっていくのです。

まとめ

黒板は、時代とともに形を変えながらも、今なお教育現場に欠かせない存在です。

光の入り方や色の工夫、そして「書いては消す」という繰り返しの中に、人と人との学びが息づいています。

デジタルが進む今だからこそ、手で書く温かさや、思考を共有する場としての黒板の価値が改めて注目されているのかもしれません。

お電話でのお問い合わせはこちら▼

お問い合わせフォームはこちら▼